囲繞地通行権
[ ジャンル:不動産(これが本業です!) , 法学 ]
2010年4月26日
「囲繞地通行権」なる権利があることをご存じだろうか。法律、不動産業に従事する方なら、ご存じだと思う。周辺の土地に全部が囲まれて道路に出られない土地(これを「袋地」という)があるときに、囲まれた土地の所有者は、道路に出るために、袋地を囲んでいる他人の土地(これを「囲繞地」という)を、当然に通行することができる権利のことである。 わかりやすくいうと、「袋地所有者による囲繞地通行権」ということになる。但し、これ、囲繞地所有者にとっては負担となるため、その損害を調整するものとして、袋地所有者にとって必要、かつ囲繞地所有者にとって最も損害が少ないものでなければならない。また、袋地所有者は囲繞地所有者に対して、「償金」つまり通行料を支払わなければならない。その支払いは1年ごとでよい。
このあたりのことは、民法第210条~213条に規定がある。
民法第210条
①或土地ガ他ノ土地ニ囲繞セラレテ公路ニ通ゼザルトキハ其土地ノ所有者ハ公路ニ至ル為メ囲繞地ヲ通行スルコトヲ得
あっ、これ、前の民法典。今は、口語に改められて、文語体が苦手な人でもわかりやすくなった。
①他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
②池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。
民法第211条
①前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
②前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。
民法第212条
第210条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。
民法第213条 省略
民法第210条第2項にある、周りが池沼、河川、水路、海等で囲まれた土地の場合は、「準袋地」という。
ところで、民法第210条第1項であるが、以前は「公路」と書かれていたが、今は「公道」と書かれている。「公道に出るために」ということであるが、これについては、「公道」に限らず、「私道」も含まれるというのが通説であるし、判例もある。だから、私としては、「公道」とせず、「道路」とすべきであったと考える。なんちゃって、偉そうに・・・。
それにしても、「袋地所有者にとって必要」かつ「囲繞地所有者にとって最も損害が少ない」という利害の調整ははなはだ困難である。
この問題、なさそうで結構、あるものである。特に、大阪市内などのごちゃごちゃしたところに家が建っているようなケース。私も一度、経験したことがある。確か、豊中の大きな屋敷に住む地主さんが囲繞地所有者で、そこに何回も足を運んだ覚えがある。
「囲繞」は「いにょう」または「いじょう」と発音する。「いぎょう」でも「いぜつ」でもないので、ご注意を...。
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