今日は、『不動産の代襲相続と数次相続〈8〉』からの続き。
『不動産の代襲相続と数次相続〈1〉』 『不動産の代襲相続と数次相続〈2〉』
『不動産の代襲相続と数次相続〈3〉』 『不動産の代襲相続と数次相続〈4〉』
『不動産の代襲相続と数次相続〈5〉』 『不動産の代襲相続と数次相続〈6〉』
『不動産の代襲相続と数次相続〈7〉』 『不動産の代襲相続と数次相続〈8〉』
やれやれ、やっと相続の基礎知識が終了した。よって、本題の「代襲相続」と「数次相続」に入っていける。
「代襲相続」については、不動産業に従事する者、宅建試験の勉強をした者でも、正確に理解できている者は、案外と少ないのではないか。
例を挙げよう。AB夫妻には、子CとDがいた。登記名義がAになっている不動産があり、Aは平成3年に既に亡くなっている。平成16年にCが亡くなり、CにはEという子がいる。Aの妻Bと子Dは存命。
さて、このA名義の不動産の所有関係を平成23年時点において考えるに、B・D・Eが持ち主だと考える人が結構いるのではないか。この考え方、果たして正しいかというと、答えは正しいこともあれば、正しくないこともある、ということになる。また、ある人はこう考えるだろう。EはCを代襲して相続したのだ、と。
こういう誤解は、不動産業界の中でもかなり蔓延していると、私は思う。実際、そういう考えをしている営業マンにお目にかかったことがある。大手不動産会社に勤務する人ではあったが・・・。
さて、ちょっと解説を。
Aを被相続人とする相続人は平成3年時点において、妻Bと、子のCとDであった。その後、Cが平成16年に亡くなったということは、Cの子EはAに対する相続人ではなく、Cを被相続人とした相続人であって、Cの配偶者(Eの母としよう)が存命であれば、Cとの関係においてその者も相続人になるのであり、必ずしもEだけが相続人になるとは限らない。こういう意味で、先ほど「正しいこともあれば、正しくないこともある」と言ったのである。ここにおいて、EはCの代襲相続人だという考え方は誤りなのである。
ポイントとしては、こう。
Aの子Cが、A死亡以前に死亡していれば、代襲相続。Aが死亡した後に、Cが死亡したのであれば、代襲相続ではない、ということ。この点は、相続関係を考えるにあたって、極めて重要なことなので、しっかり頭に入れておいて頂きたい。
もう一度、先ほどの例で考えてみよう。
①のパターン
もし、CがAより先に死亡していたのであれば、B・D・Eが相続人で、相続分は妻Bが1/2、DとEが1/4ずつとなる。EはCの代襲相続人で、その相続分はCが生きていれば得られたであろうものと同じである。
②のパターン
ところが、先に挙げた例のように、Aが平成3年に死亡し、Cが平成16年に死亡したのであれば、そしてCの妻すなわちEの母が存命であれば、平成23年における不動産の持分はこのようになる。
○B:1/2【Aから相続した分】
○D:1/4【Aから相続した分】
○Cの妻(Eの母):1/8
【CがAから相続した分が1/4、Cから相続した分としてその1/2】
○E:1/8【CがAから相続した分が1/4、Cから相続した分としてその1/2】
①の方が「代襲相続」ということであり、②が「数次相続」というものの考え方である。基礎知識の説明にかなりの労力を費やしたが、私がお話したかった核心部分である。
この核心部分が理解できれば、「・・・」。私は、『不動産の代襲相続と数次相続〈1〉』の中で、こう書いた。
「この二点が理解できさえすれば、相続というものの全体像が少しばかり垣間見えるだろう。また、ともすれば、これで正しい解釈をしているのだろうかという不安に陥りがちで、暗闇をさまよう者に一筋の光明を与えることとなるだろう。」と。
では、「代襲相続」と「数次相続」について、もう少し深掘りしていくこととしよう。と思ったが、長くなりそうなので、今日のところはこれで止(よ)す。続きは、明日の『不動産の代襲相続と数次相続〈10〉』でね...。
2011年9月30日


