兵法 『孫子』 【パート11】
2014年3月 3日
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前回から「謀攻篇」に入っているが、今日はその続きを。
故に上兵は謀を伐(う)つ。其の次は交を伐つ。其の次は兵を伐つ。其の下は城を攻む。攻城の法は已むを得ざるが為なり。櫓(ろ)・轒轀(ふんおん)を修め、器械を具(そな)うること三月にして後に成る。距闉(きょいん)また三月にして後に已む。将其の忿(いきどお)りに勝(た)えずしてこれに蟻附(ぎふ)すれば、士卒の三分の一を殺して而(しか)も城の抜けざるは、此(こ)れ攻の災なり。
故に善く兵を用うる者は、人の兵を屈するも而も戦うに非ざるなり。人の城を抜くも而も攻むるに非ざるなり。人の国を毀るも而も久しきに非ざるなり。必ず全きを以て天下に争う。故に兵頓(つか)れずして利全うすべし。此れ謀攻の法なり。
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ここも【パート10】と同じく、戦い方の優劣を順に並べている。最上の戦い方が謀を伐つことで、次に交を伐つこと、その次が兵を伐つこと。そして、最も下策なのが城攻めだと述べているのである。
「謀を伐つ」とは、敵の計画を事前に看破してこれを阻止すること。「交を伐つ」とは、敵と同盟関係にある国との国交を断絶して孤立させること。「兵を伐つ」とは、敵国と一戦を交えることだ。謀と交を伐つには味方の戦力を消耗させることはない。兵を伐てば自国の兵士も犠牲にしてしまう。まして、城攻めともなると莫大な戦費を要し、国力が疲弊してしまうから下策であって、やむを得ない場合にだけ採るべき手段なのだ。
「櫓(ろ)」は大きな盾、「轒轀(ふんおん)」は城攻めに使う装甲車、「距闉(きょいん)」は土塁のこと。城攻めのために使うそのような兵器などを準備するには3カ月はかかってしまうのだ。その間に血気盛んな将軍が兵士をアリのごとく敵の城壁に這いつくばらせて強行突破を試みれば兵の3分の1を失ったとしても城を落とせずじまいになることだってある。こういうのが、城攻めの弊害なのだ。
よって、敵軍を屈服させても戦闘したのではなく、敵城を落としても攻めたのではなく、敵国を滅亡させても長期戦によったのではない。戦上手はこういう戦い方をするものだ。敵も味方も無傷で終わらせてこそ、完全な勝利を収めたことになる。
やむを得ず戦争をするにも、武力行使に訴えて戦火を交えるのではなく戦略で勝利することこそ「謀交の法」なのだ、ということ。
「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」
「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス」
道半ばで果てたとはいえ、信長にはできなかった天下統一が秀吉にできたのは、この「謀交の法」を肝に銘じていたからかもしれない...。
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